KONGのダックとBDのATCガイドでカシの木剪定

2022年4月3日

今年もいよいよこの季節がやってきました。

薪ストーブの季節ではありません。こっちは終わったばっかりです。というわけでロープワークモリモリで剪定する話をします。夏ミカンも安全のためランヤードでセルフビレイしながら剪定しましたが、脚立から枝に乗り移れますし、7割方の実ははしごで十分取れるくらいに樹高が低くて迫力ないんですよね、魅せるにはやっぱこっちです。

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カシの木(シラカシ)は全部で3本あります。いつも低いのからやっていて今回投稿するのがこの一番低い奴です。

左下がこの前剪定した夏ミカンですね。高さの違いを感じます。夏ミカンの剪定の話はこちら。

今回のカシの木の特徴は、幹の枝分かれが下の方にあって、はしごを掛ければここまで立ち上がれること。こいつはツリークライミングするほどではありません。

では装備の確認をしましょう。

  • ツリークライミング用のサドル
  • ブラックダイヤモンドのATCガイド(赤丸で示したやつ)
  • ブラックダイヤモンドのグリッドロック スクリューゲート(赤丸で示したやつ)
  • コングのダック(緑丸で示したやつ)
  • ランヤード
  • 180cmダイニーマスリング
  • 剪定用のこぎり(神沢精工の侍シリーズ「騎士」)
  • スリーアクションロックの安全環付きカラビナ

オッケーでございます。たーは一応とあるツリークライミングの協会の認定者なのですが、そこではスリーアクションロックの 安全環付きカラビナを使うよう、きつく言いつけられています。じゃあ、グリッドロック スクリューゲートはスクリュータイプなのにどうなの?と。これは登る前にセットしたら一回も開け閉めしないので良しとしちゃいましょう。

あと、強度23kN以上の装備で固めるよう言いつけられているのですが、ほぼすべてのダイニーマスリングは22kNなのでここは妥協しています。(とある協会の講師たちも22kNのスリング使ってましたし)

はしごがここまで届くので、上から二段目に乗ったところでスリングとKONGのダックで最初のセルビレイを行います。

ビレイを架け替えながら上まで登ります。こんな風に2点からセルフビレイをして、架け替えるときはもう一方に荷重を預けられることを確認しながらやります。KONGのダックはダイニーマスリングにも使えるのが手軽でよいです。

ちなみにKONGのダックとは一般的にはアッセンダーと呼ばれるものです。この画像を見ればわかるとおり、ギザギザ部分がぎゅっと締まってフリクションを掛けます。トゥースタイプという痛そうな針でフリクションを掛けるタイプもあります。ダックはトゥースタイプではないのでロープやスリングが傷つきませんし、丸い部分が滑車のように回りはしないけど、ロープを折り返せるようになっていて、セルフジャミングプーリーとしても使える優れものです。ちなみに、アッセンダー・セルフジャミングプーリー、普通のプーリーと、3役で使えるロールンロックというのもあります。

ですが、こっちはアッセンダーとして使うと消耗が早いということが商品説明に書いてあるので、プーリーとしての使用がメインの場合に使うべきでしょう。

ランヤードの方はATCガイドを使い、こうやってフリクションを掛けます。使っているのはペツルのルベルソと人気を二分するメジャーなビレイデバイスです。ランヤードに使うならロープの通し穴は1本のタイプでも問題ありませんが、ロッククライミングのほうの経験もあり、汎用的な2本のタイプを使っています。

日本の代理店のロストアローから動画が紹介されているので実際見た方がイメージ湧くと思います。

セカンドが墜落する、つまりクライマー側のロープが引っ張られると、ビレイヤー側のロープがクライマー側のロープを抑え込んでロックするという仕組みです。これをランヤードとして使ってもきっちりロープが止まります。

とある協会の方法ではビレイデバイスではなく、フリクションヒッチ(バッチマン)とプーリーを組み合わせた方法で支えます。

ツリークライミングワールド(https://tcw.co.jp/products/detail.php?product_id=689)より抜粋

ランヤードにビレイデバイスを使う方法はどこにも見当たらないし、習っていません。しかし、自分なりにいろいろ工夫していいって聞いているので、工夫してみました。

ビレイデバイス方式の方が以下の点で優れている点があるので採用しています。

  1. カラビナが2つ必要になるけど小さくてもいい(協会方式はロープ2本+プーリを通すので幅が必要)
  2. 遊びがないので引っ張った分だけ短くなる
  3. フリクションを掛けなくても緩められる

まず1つめ、バッチマン+プーリーはカラビナにロープ2本分とプーリーを入れるのでHMS型でも特に幅広なタイプが必要になります。ペツルを使えばいいのですが、ツリークライミングワールドはペツルを扱っていません。画像はオーバル型でやっているけど、かなりきつくなってセッティングが大変になります。

2つめ、 バッチマン+プーリーは バッチマンの巻いた部分からカラビナに通ったところまでの長さ分が遊びになって、この分を余計に引っ張らないと短くなりません。引っ張った後、荷重をかけるときに遊びの分だけ下がってしまいます。あまり安全とは言えない高い木の上で遊びの分を計算しながら作業するのはNOT DIFFICULT(ツリークライミングでやってはいけない3つのDの1つ)の原則に反します。

3つめ、バッチマンを緩めるには片手でバッチマン部分を持たなければなりません。すると、もう一方の手でロープを引っ張るか、ロープが張られるような状態で体を離すか捻るかしないとランヤードが緩みません。ビレイデバイスなら、ランヤードが既にたるんでいても、片手でループ部分を引っ張って伸ばして、その手で緩む方向にランヤードを引っ張れば片手だけで緩められます。ロープが張られていれば動画の通りちび穴側を傾ければ緩みますし、墜落時ほどの荷重はかからないのでくいっと軽く傾けられます。

たーの自己責任でやっている方式なんで、見様見真似ではやらないように、原理を理解してからやってください。

ちなみにシモンのトゥキャンというビレイデバイスはロープを緩めるのがもっとやりやすいみたいなので、この用途にはより適しているかもしれません。

まぁこんな感じで一本仕上がりました。となりの夏ミカンのと比べると明らかにつよつよな強剪定ですね。

もうちっちゃなドングリができ始めていました。