棚板は吸い付き蟻桟にして2段下駄箱製作

2022年3月31日

木工、特に家具系をやっていくと、行きつくのは蟻だなと思います。トリマーの蟻ビットを使えば難易度は低くなりますしね。というわけで前に蟻組みでマカロン用の踏み台を作ったことがありました。

今回は蟻組みも使いつつ、中段の棚板は吸い付き蟻桟ではめることにします。

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ほとんどの人は吸い付き蟻桟? って感じでしょうね。この仕口で一番よく見かけるのはやっぱ羽釜の蓋です。

取っ手と丸板の接続部分が台形になっていて、太いほうが中にはまっているので抜けません。さらに丸板の繊維方向に直行するようにはめることで、丸板が反るのを防止する役目もあります。仕口をきっつきつに仕上げると吸い付くようにピタッと密着するので吸い付き蟻桟と言われます。

では実際反るのを防げるかというと・・・経年によっては反って取っ手が外れてしまいます。昔、うちは羽釜とかまどで米を炊いていたのですが、その蓋は反って取っ手が外れています。

今回は反りを防止したいのではなく、棚板自体に分離させない機構を持たせたいのです。

構想

こんな感じ。現状、玄関には上に吊戸棚式の下駄箱、下にベンチがあり、収納スペースが極端に少ないので、ベンチの下にも下駄箱を設置したいと思っていました。

必要な材料

  • 赤松36mm×45mm(柱、貫用)
  • 赤松90mm×12mm(棚板用)
  • キシラデコール
  • ウレタンニス

木は赤松のこの二種類です。赤松は泥に強いらしいので下駄箱に使うには適していそうです。

(主に)必要な工具

  • ドリル
  • トリマー(6mmエンドミル、蟻ビット装着)

そもそも電動工具はドリルとトリマーしか持っていないので、毎回代わり映えしませんが書いておきます。

手順

1.柱と貫は貫通ほぞで接続します。全部で8つ。その男木側を削ります。本数が多いときは全部トリマーで削った方が早いです。トリマーで5mm以上削ろうとすると負担がかかって綺麗に仕上がらないので、3~4mmずつ削っていきます。矩手36mmを両端から削って12mmにするので、3回または4回ビットの長さを変えなければいけません。一か所だけだと両側2回削って長さ調整・・・めんどいので手鋸になります。8か所あれば断然トリマーの方が早いです。トリマーテーブルがあれば申し分ない精度で仕上がります。

中段用の二方胴付はこれで終わり
上段用の三方胴付は長手方向をさらに15mm削る

2.ほぞの女木側(ほぞ穴)を開けます。こちらはドリルで貫通させて、トリマーで面を整えて、最後に四隅の丸くなる部分を鑿で直角に仕上げます。こちらもトリマーテーブルで仕上げられないこともありませんが、この90°削りようの治具を使って手持ちにした方がやりやすいです。

付属のストレートガイドと治具を使ったほぞ穴加工の方法もあって、YouTubeで検索すると出てきます。

3.上段の棚板に蟻組の刻みをつけます。棚板側はトリマーで簡単に仕上がります。画像だとちょっとわかりにくいのですが、前(棚板で隠れて見えない)にツーバイフォーを置いて、トリマーテーブルの壁を安定して沿わせられるようにします。ガイドするツーバイフォーは地面からは浮かせます。でないとツーバイフォーも一緒に削ることになって負荷がかかります。後ろには捨て板の桐集成材を置いて、棚板自身にバリが出ないようにします。

4.棚板と噛み合う貫側の刻みをします。棚板の蟻加工を写し取ったのがこれです。

塗り方を間違えました。墨付けしていない方を削ります。ここは鑿を使って手刻みで。

で、刻み終えました。日が暮れました。トリマー(他、電動工具)を使っているとわかりにくいのですが、アカマツは適度に柔らかくて刻みやすいです。で、先に完成後を見せてしまうと、こんな感じで収まります。

踏み台製作で蟻が割れた経験を活かし、あまりきつすぎないように、無理にはめないように注意しながらはめました。バラシてウレタンニスを塗るので、きつくても一回入れば終わりというわけにはいきません。

5.いよいよ今回のお題の中段用棚板に施す蟻桟の加工まで来ました。といっても男木、女木とも蟻ビットでトリマーテーブル上を流すだけなので、計算さえちゃんとできれば簡単です。やってみたら適度なきつさで吸い付きました。写真の男木は試しに刻んでみた端材です。これと同じ設定で棚板も刻めばおっけいです。

6.これで刻みが終わったので組み立てです。仕口で組むと刻みばかり時間がかかって、組むのはあっという間ですねぇ。

構想でも、バラの状態の画像でも間柱があるのですが、これは扉を打ち付ける用に用意しました。しかし、ベンチの素材であるケヤキに合わせて、同じケヤキを用意したかったのですが、今ある玉切りのケヤキから製材したら幅が若干足りず、諦めました。

扉があっても匂いがこもるっていう話もあるし、このままにしましょう。

木工DIY

Posted by たー